石綿障害予防規則とは
「石綿障害予防規則」とは、日本の労働安全衛生法に基づいて制定された厚生労働省令で、労働者が石綿(アスベスト)による健康障害を受けないようにするための具体的な予防措置や作業基準を定めた法規です。正式には「石綿による健康障害の防止に関する規則」といい、略して「石綿則」とも呼ばれます。

✅ 背景と目的
・石綿(アスベスト)は、かつて断熱性・耐火性に優れた素材として建材などに広く使われていましたが、吸入すると中皮腫、肺がん、石綿肺などの重大な健康障害を引き起こすことが明らかになり、現在では使用が原則禁止されています。
・石綿障害予防規則は、そうした過去に使われた建材の解体や処理に関わる作業者の健康を守るために、作業手順や保護具の使用などを厳しく定めています。
🧾 主な内容
以下のような項目が定められています。
1. 作業前の調査義務(事前調査)

・解体や改修の工事を行う前に、建築物に石綿含有建材が使われているかを調査し、結果を記録・報告する義務があります。
2. 作業の区分と基準
・石綿の種類(レベル1~3)に応じて、必要な防止措置や作業方法が分類されています。
3. 作業環境の隔離・除じん
・石綿が飛散しないように、作業場を密閉し、負圧に保つことなどが求められます。
4. 保護具の使用

・作業員には、防じんマスク、防護服の着用が義務付けられています。
5. 作業者の教育と健康診断

・石綿に関わる作業を行う労働者には、定期的な特別教育と健康診断が必要です。
📅 制定と改正
・初めて制定されたのは2005年。
その後、石綿の危険性が広く認識されたことにより、たびたび改正が行われています。特に、2022年・2023年には事前調査の義務化の強化などが盛り込まれました。
🏗 該当する主な作業例

・建物の解体
・天井・壁・床の改修工事
・石綿保温材の除去
◆関連法令
・建設業法
・大気汚染防止法(環境面からの規制)
◆補足
・一般の人に対してではなく、事業者や工事業者が守るべき規則です。違反した場合は、罰則や行政処分の対象になることもあります。

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