アスベストの分析手順
アスベストの分析手順は、作業環境や材料中のアスベスト含有の有無を確認するために行われるもので、日本では「労働安全衛生法」や「大気汚染防止法」などの法令に基づいて実施されます。以下は一般的なアスベスト分析の流れです。
■ アスベスト分析の主な手順（建材の場合）
1.《試料の採取》
（ア）建材（吹付材、断熱材、成形板など）から適切にサンプルを採取。
（イ）飛散の恐れがあるため、採取作業は防護具（防じんマスク・手袋・保護服）を着用し、安全に実施。
（ウ）試料は密閉容器に入れてラベル付けして保管・搬送。
2.《前処理》
（ア）試料を乾燥させ、適当な大きさに破砕。
（イ）必要に応じて灰化処理（高温炉で有機物を除去）や酸処理などを実施。
3.《分析方法の選定と実施》
以下のいずれか、または複数の手法でアスベストの有無と種類を分析します。
(1) 偏光顕微鏡分析（PLM）
・光学的特性によりアスベストを識別。
・含有量の定量は困難。
(2) X線回折分析（XRD）
・アスベストの結晶構造を確認。
・種類の判別に有効。
(3) 走査型電子顕微鏡分析（SEM-EDS）
・高倍率で繊維形状を確認し、元素分析も可能。
・種類と含有の確認が比較的高精度。
(4) 透過型電子顕微鏡分析（TEM）
・非常に細かい繊維まで検出可能。
・空気中のアスベスト分析などで用いられる。
4.《アスベストの種類の判定》
◆日本で法規制されているアスベストは以下の6種類です
（ア）クリソタイル（白石綿）
（イ）アモサイト（茶石綿）
（ウ）クロシドライト（青石綿）
（エ）アンソフィライト
（オ）トレモライト
（カ）アクチノライト
・分析結果により、どの種類が含まれているかを判定します。
5.《含有量の評価》
・通常は3％以上含まれていると「アスベスト含有建材」とみなされます（法的基準）。
6.《報告書作成》
・試料情報、分析手法、結果、写真などを含んだ報告書を作成。
・建築主や関係機関へ提出。
◆必要に応じて、空気中のアスベスト濃度分析（フィルター捕集→TEM分析）も実施されます。
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